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オルタナティブ投資とはどんなもの

オルタナティブ投資とはどんなもの
〈(例)インフラストラクチャーの運用スキームのイメージ〉 オルタナティブ投資とはどんなもの

オルタナティブ投資とはどんなもの

オルタナティブ投資とは

資産運用において基本的な投資対象は株式債券です。これらを「伝統的資産」と言います。これに対し、伝統的資産以外の資産を伝統的資産に代わる資産という意味で「オルタナティブ資産」(又は「代替資産」)、オルタナティブ資産への投資を「オルタナティブ投資」といいます。

オルタナティブ投資が求められる背景

なぜ今オルタナティブ投資が求められているのでしょうか?分散投資の基本は、株式と債券への投資です。かつてはリスク資産である株式安定資産である債券の比率を調整することでポートフォリオのリスクを調整してきました。そのような時代のオルタナティブ投資は、さらにリスクを取って、より大きなリターンを求める投資法であったかもしれません。

しかし、現在は歴史的な低金利を背景に、安定的な運用をしようと債券の比率を増やしていくと、ほとんどリターンが取れないという投資環境になってしまいました。さらに、現在の金利水準で多く債券に投資していると、今後金利が上昇してきた時に(債券価格が下落するため)大きな損失を被る可能性もあります。そこで安定運用を志向する投資家にとってもオルタナティブ投資が必要になってきているわけです。

オルタナティブ投資でリスクを抑えるしくみ

前述の通り、高いリターンを求める目的でオルタナティブ投資を行うケースもありますが、分散効果を高めてポートフォリオ全体のリスク(振れ幅)を抑える目的で活用される方が現在は一般的かもしれません。以下の図は、分散効果のイメージです。

  • 相関関係については…
    【参考】分散投資の方法①相関関係を知ろう

オルタナティブ投資の例

不動産

実物不動産への投資は資産家が伝統的に行ってきた投資手法であり、不動産・株式・債券の三つに資産を分散して運用する財産三分法という考え方も古くからあったようです。現在は、実物不動産ではなく、不動産投資信託(REIT)の仕組みを使って、小額の資金で多くの不動産に分散投資を行うことが可能となっています。上場REIT(J-REIT)や上場REITを組み入れた投資信託に投資している個人も増えているかと思います。株式市場に上場しているREIT以外にも多くの私募REITが存在し、機関投資家が投資を行っています。

私募REITとは、私募ファンドの一種で、私募ファンドというのは、大口の機関投資家などを中心とする「50人未満の少数の投資家」を対象に募集を行うファンドです。公募ファンドに比べて規制が緩く、最低投資単位も大きいことが多いといった特徴があり、「プロ向け」の投資手段と言えるでしょう。大口投資家は、REITに限らず様々な資産についてこうした私募ファンドのスキームを活用し、公募の商品では得られない収益機会を求めています。私募REITは、いつでも売却できる上場REITより流動性は劣るものの、株式市場との相関性が高くなりがちな上場REITよりも高い分散効果が見込めるというメリットもあります。

インフラストラクチャー(インフラ)

インフラストラクチャー(インフラ)とは、発電所、空港、道路、鉄道、再生可能エネルギー、パイプライン、通信などの社会基盤等を指し、ファンド等を通じてそれらに投資を行うのがインフラ投資です。インフラ投資は長期的に安定的なインカムゲインが期待できる投資対象として注目されています。

コモディティ

コモディティ(商品)とは、原油・天然ガス等の天然資源、金・プラチナ等の貴金属、大豆や砂糖等の農産物等を指します。原油価格の上昇でガソリン価格が上昇するなど、私たちの生活にも直結する資産でもあります。コモディティは、株式や債券等の伝統的資産とは異なる動きをすることが多く、高い分散効果が期待できる点、インフレに強い点等がメリットと言えます。一方で、値動きが大きい点やインカムゲインを得られない資産である点がデメリットと言えます。

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、「空売り」や「レバレッジ」、「デリバティブ/金融派生商品」等の非伝統的な運用手法を使って、相場が上昇している時だけでなく、下落相場の時でもリターンを出す絶対収益を追求した運用を行うファンドのことです。安定的な運用を求められる年金基金等でも採用されています。「ヘッジファンド」と聞くと、「危なそう」「リスクが高そう」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、元々「ヘッジ」とは「回避」という意味で、「リスクを回避する」のがヘッジファンドの元来の目的ですから、実は安定的なリターンを着実に出すことを目指すファンドも多く、必ずしもハイリスク・ハイリターンではありません。とはいえ、採用している手法は複雑なものであるため、投資に当たってはある程度の理解が必要となります。

個人でヘッジファンド運用を取り入れる手段の一つとして、そうした運用をしている投資信託を購入する方法があります。ヘッジファンドと言えば、以前は最低投資単位が数千万~1億円程度といった高額な商品がほとんどでしたし、現在でもそのような商品も存在しますが、ヘッジファンド的運用をしている投資信託などはネット証券でも購入できます。 オルタナティブ投資とはどんなもの
⇒商品性が複雑なため、特に投資経験の浅い方は、専門家のアドバイスの下で商品選択を行うことをお勧めいたします。弊社では投資信託の選び方についてのセミナー【リンク貼付】も開催しておりますので、ぜひご利用下さい。

また、最近では、株式市場の何倍もの動きを目指すようなレバレッジ型のETFや、株式市場が下落すると利益が出るベア型のETF等への投資が一部で人気になっているようですが、これらも個人でヘッジファンド的運用を取り入れる手段ではあります。しかし、非常にリスクが高く、安易に投資を行うことはお勧めできません。最近の人気ぶりは、分散投資やリスクヘッジの一環、というより、投機的に投資を行っている投資家が多いように見受けられます。

プライベート・エクイティ(PE)

プライベート・エクイティとは、「未公開株」あるいは「非上場株式」を指します。プライベート・エクイティ投資とは、創業間もない企業への投資(ベンチャー・キャピタル投資)や経営不振・後継者不在等の問題を抱える企業への投資(バイアウト投資、企業再生投資)、または、破綻した企業への投資(ディストレス投資)等を行い、企業価値を高めたり、再生したりした後、IPO(株式公開)やバイアウトによって利益を出す投資法です。上場株式と比べて流動性が低く個人が簡単に投資できない等のデメリットもありますが、伝統的資産以外の投資機会として注目を集めています。次回コラムで取り上げますが、莫大な資産を運用する年金基金や大学基金の運用にも積極的に取り入れられています。かなり「プロ向け」の資産となりますが、個人投資家でも、最低投資単位の大きいファンドラップ等に組み入れられているケースがあります。

プライベート・デット

プライベート・デットは、銀行以外の主体による企業への貸付を指します。一般に信用力の低い企業を借り手とする投資になり、信用リスクや流動性リスクが高いため、通常の債券投資よりも高いインカムゲインが期待できます。それでも、デット=負債は、株式より弁済順位が高いことから、前項のプライベート・エクイティ(PE)投資よりは低リスクの投資ということになります。リーマンショック後、銀行が信用力の低い企業への貸し付けに消極的であることからもプライベート・デット市場は拡大しています。ただし、こちらは個人で投資する機会はほとんどないかと思います。

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1、オルタナティブ投資が注目を集めている オルタナティブ投資とはどんなもの 3 つの理由

なぜ、オルタナティブ投資が注目を集めているのでしょうか。そこにある 3 つの理由から解説していきます。

(1)リスクを分散して資産防衛ができる

オルタナティブ投資の「オルタナティブ」には、 代替、代わり、別の、といった意味があります。 つまりオルタナティブ投資は何かの代わりになる投資ということです。

(2)投資対象や手法の選択肢が増える

多くの資産を持つ人にとって、最も怖いのはその 資産が無価値になってしまうことです。 どれだけお金を持っていてもお金が紙切れになってしまったら資産家ではいられなくなるからです。

(3)市場の低迷局面であっても利益を狙える

2、ちょっと難しいオルタナティブ投資を一発解説

(1)とても意味の広いオルタナティブ投資

冒頭で述べたように、オルタナティブ投資とは「 株や債券以外 」への投資を指す総称です。この記事では、その中の代表的なものとして以下の 5 つを解説します。

早くもよく分からない言葉が登場したとお感じかも知れませんが、これらの意味は後述していきますのでご安心ください。
ここで押さえておきたいのは、「株や債券」といった伝統資産とは違う別のものを「 伝統資産の代わりに 」投資するのがオルタナティブ投資だという一点です。

  • 伝統資産だけに集中投資するリスクを分散
  • 伝統資産が値下がりしても利益を狙える仕組みづくり

(2)まだまだあるオルタナティブ投資

(3)オルタナティブ投資に適しているのは、こんな人

オルタナティブ投資が持つ本来の 目的はリスクヘッジ なので、何らかの金融資産を持っている方すべてにメリットがあります。特に 1,000 万円以上の資産規模になると資産をいかに増やすかという視点に加えて、資産をいかに守るかという視点も重要になります。

3、オルタナティブ投資の主な種類

実にたくさんあるオルタナティブ投資の中でも代表的なもの、すでに多くの投資家が投資しているものを 5 つピックアップして解説します。

不動産投資には他にも、 REIT や不動産私募ファンド(ソーシャルレンディング)などの投資方法があります。もちろんこれらもオルタナティブ投資に含まれ、 株や債券に代わる投資対象として最も代表的な存在です。

現物不動産については「不動産投資の教科書」に多くの解説記事がありますので、そちらもぜひご参照ください。 REIT については「不動産投資信託( REIT )で始める、資金 10 万円以下からの本格的な資産形成」で、不動産私募ファンドについては「不動産ファンド投資で定期預金の280倍のリターンを得る4つの行動」にて、それぞれ詳しく解説しています。

(2)ヘッジファンド

投資家から預かったお金を運用して利益を上げ、それを 投資家に還元するのがヘッジファンドの仕組み ですが、先物やデリバティブといった高度な金融商品を投資対象としており、「相場の下落局面でも利益を上げる」ことと、「より高いリターンを狙って投資家の期待に応える」ことを目的としているのが特徴です。

(3)プライベート・エクイティ(未上場株式)

上場されて取引されている現物株は伝統資産ですが、 上場されていない株はすべてオルタナティブ資産 です。

(4)コモディティ

コモディティとは商品という意味で、そこには 金属や燃料、食糧などの各種資源 が含まれています。コモディティの中でも特に貴金属は長年にわたってオルタナティブ資産の代表的な存在であり、価値が安定していることから金に投資をしている投資家は多くいます。

(5)インフラ資産

4、オルタナティブ投資の 3 大メリット

すでに解説してきていることも含まれますが、オルタナティブ投資のメリットを 3 つに整理して解説します。

(1)投資機会の拡大、チャンスの拡大

例えば、 REIT は投資家から集めた資金で規模の大きな不動産を購入して運用しますが、一般投資家がこれだけの規模で不動産投資をするのは難しいでしょう。不動産私募ファンドも同様で、大口投資家を対象としていた投資案件を一般投資家も投資できるように小口化したものです。

(2)市場の低迷局面でも収益の可能性

株価が下落している局面で利益を出す方法と言えば、空売りが一般的です。この空売りも現物株取引ではないため、オルタナティブ投資の一種です。その他にも先物のオプション取引など 相場が下落している局面でも利益を狙える のがオルタナティブ投資のメリットです。

(3)リスク分散

資産家と呼ばれる規模の資産を保有している人にとって、資産を守ることは至上命題です。「卵は 1 つのかごに盛るな」という相場格言があるように、分散投資はリスク管理の基本です。

5、オルタナティブ投資の 3 大デメリット

投資家にとって強い味方であるオルタナティブ投資ですが、やはりデメリットもあります。直接的なデメリットは 1 つですが、それ以外の派生的な デメリットも含めて 3 つ を挙げてみました。

(1)仕組みが複雑でコスト増の可能性

(2)投資対象へのなじみが少なく分かりにくい

(3)どちらかというと機関投資家向け

6、初心者にオススメのオルタナティブ投資 オルタナティブ投資とはどんなもの 5

投資初心者の方々にとって取り組みやすいオルタナティブ投資を、 5 つピックアップしました。 それぞれの投資を始める方法やポイントを解説します。

(1) J-REIT

REIT の中でも証券取引所に上場されているものを、 J-REIT といいます。「 J 」と付くことからお分かりのように、日本国内の不動産が運用対象です。そのため日本人投資家になじみやすく、数十万円あればほとんどの銘柄を購入できます。

J-REIT は上場されていることもあって、証券会社の口座から簡単に購入できます。口座開設や REIT 銘柄の選び方など、詳細な情報は「不動産投資信託( REIT )で始める、資金 10 万円以下からの本格的な資産形成」で解説していますので、ぜひそちらもお読みください。

(2)不動産私募ファンド

不動産私募ファンドへの投資方法や投資先の選び方などについては、「 3,000 万円を 1 億円にしたい方必見!極めて現実的な 2 オルタナティブ投資とはどんなもの 大資産運用法」の「4、高利回りで話題の不動産私募ファンド」に詳しい解説があります。この記事は 3,000 万円の運用方法を解説していますが、不動産私募ファンドなら少額からの投資も十分可能です。

(3)ヘッジファンド型投資信託

マクロ・トータル・リターン・ファンド

ロボット戦略 世界分散ファンド

BNY メロン・リアル・リターン・ファンド B オルタナティブ投資とはどんなもの コース

(4)インフラファンド

2022 年 オルタナティブ投資とはどんなもの 3 月現在、7つの銘柄が証券取引所に上場されています。

タカラレーベン・インフラ投資法人

いちごグリーンインフラ投資法人

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人

東京インフラ・エネルギー投資法人

エネクス・インフラ投資法人

ジャパン・インフラファンド投資法人

REIT と似た構造になっている投資信託ですが、不動産賃料を収入源としている REIT に対して間接的な形ではあるものの、売電収入という伝統資産と全く異なる収益構造になっているためインタラクティブ投資のメリットを享受することができます。

(5)現物不動産

読み終えた今は、いかがでしょうか?オルタナティブ投資について、「 株や債券など伝統資産とは別の投資 」であり、「 伝統資産の限界を解決するもの 」であることがお分かりいただけたと思います。

お金を増やすことも大事ですが、 減らさないための守りにオルタナティブ投資 を意識していただければと思います。

アバター

山本 尚宏

株式会社不動産投資の教科書 代表取締役
1982年神奈川県生まれ。2006年東京大学理学部数学科を中退。在学中に司法試験の勉強を開始(短答式試験合格)。その後、2007年法律事務所オーセンスに勤務。2010年オーセンスグループ株式会社(現弁護士ドットコム株式会社)にて法人営業などに従事。2012年より参議院議員(当時)で弁護士でもある丸山和也氏の秘書(国会議員秘書)を務める。2014年不動産投資に特化した専門サイト「不動産投資の教科書」を運営する株式会社不動産投資の教科書を設立。不動産投資家に、「本当に良質な不動産投資会社だけをお薦めする」という経営理念のもと、業界の健全化に貢献すべく日々奮闘中。

オルタナティブ投資とはどんなもの

ETFとはExchange Traded Fundの略で、Exchange(証券取引所で)Traded(取引される)Fund(投資信託)です。

米国株ETFに投資する4つのメリット

コスト 売買
手数料
為替スプレッド
(国内投資信託)
iシェアーズ
米国株式インデックス・ファンド
(S&P500指数連動型)
0.4125%
(信託報酬)
なし 両替なし
(米国株ETF)
iシェアーズ S&P 500 ETF(IVV)
0.03%
(オルタナティブ投資とはどんなもの 経費率)
0.495% 1ドルあたり20銭

コスト 売買
手数料
為替スプレッド
(国内投資信託)
iシェアーズ
ゴールドインデックス・ファンド(H無)
0.5085%
(信託報酬)
なし 両替なし
(米国株ETF)
iシェアーズ ゴールド トラスト(IAU)
0.25%
(スポンサー報酬)
0.495% 1ドルあたり20銭

画像01

ご注意事項

Max

Max

個人投資家。30年以上の国内外での投資の経験を活かしFPとして、多岐にわたる相談を受ける。
フロリダの大学在学中、某金融雑誌の編集長も務める大学教授から投資の本質を徹底的に叩き込まれる。その時培った投資手法を今でも実践。
米国や南米の富裕層との交流から、資産運用の重要性を肌で感じ、その後の考え方に多大な影響を受ける。
多くの人に投資の重要性とその素晴らしさを知ってもらいたく、投資信託と株の塾を主催。
現在は国内外に複数の企業を経営。

オルタナティブ投資とはどんなもの

オルタナティブ投資とは

資産運用において基本的な投資対象は株式債券です。これらを「伝統的資産」と言います。これに対し、伝統的資産以外の資産を伝統的資産に代わる資産という意味で「オルタナティブ資産」(又は「代替資産」)、オルタナティブ資産への投資を「オルタナティブ投資」といいます。

オルタナティブ投資が求められる背景

なぜ今オルタナティブ投資が求められているのでしょうか?分散投資の基本は、株式と債券への投資です。かつてはリスク資産である株式安定資産である債券の比率を調整することでポートフォリオのリスクを調整してきました。そのような時代のオルタナティブ投資は、さらにリスクを取って、より大きなリターンを求める投資法であったかもしれません。

しかし、現在は歴史的な低金利を背景に、安定的な運用をしようと債券の比率を増やしていくと、ほとんどリターンが取れないという投資環境になってしまいました。さらに、現在の金利水準で多く債券に投資していると、今後金利が上昇してきた時に(債券価格が下落するため)大きな損失を被る可能性もあります。そこで安定運用を志向する投資家にとってもオルタナティブ投資が必要になってきているわけです。

オルタナティブ投資でリスクを抑えるしくみ

前述の通り、高いリターンを求める目的でオルタナティブ投資を行うケースもありますが、分散効果を高めてポートフォリオ全体のリスク(振れ幅)を抑える目的で活用される方が現在は一般的かもしれません。以下の図は、分散効果のイメージです。

  • 相関関係については…
    【参考】分散投資の方法①相関関係を知ろう

オルタナティブ投資の例

不動産

実物不動産への投資は資産家が伝統的に行ってきた投資手法であり、不動産・株式・債券の三つに資産を分散して運用する財産三分法という考え方も古くからあったようです。現在は、実物不動産ではなく、不動産投資信託(REIT)の仕組みを使って、小額の資金で多くの不動産に分散投資を行うことが可能となっています。上場REIT(J-REIT)や上場REITを組み入れた投資信託に投資している個人も増えているかと思います。株式市場に上場しているREIT以外にも多くの私募REITが存在し、機関投資家が投資を行っています。

私募REITとは、私募ファンドの一種で、私募ファンドというのは、大口の機関投資家などを中心とする「50人未満の少数の投資家」を対象に募集を行うファンドです。公募ファンドに比べて規制が緩く、最低投資単位も大きいことが多いといった特徴があり、「プロ向け」の投資手段と言えるでしょう。大口投資家は、REITに限らず様々な資産についてこうした私募ファンドのスキームを活用し、公募の商品では得られない収益機会を求めています。私募REITは、いつでも売却できる上場REITより流動性は劣るものの、株式市場との相関性が高くなりがちな上場REITよりも高い分散効果が見込めるというメリットもあります。

インフラストラクチャー(インフラ)

インフラストラクチャー(インフラ)とは、発電所、空港、道路、鉄道、再生可能エネルギー、パイプライン、通信などの社会基盤等を指し、ファンド等を通じてそれらに投資を行うのがインフラ投資です。インフラ投資は長期的に安定的なインカムゲインが期待できる投資対象として注目されています。

コモディティ

コモディティ(商品)とは、原油・天然ガス等の天然資源、金・プラチナ等の貴金属、大豆や砂糖等の農産物等を指します。原油価格の上昇でガソリン価格が上昇するなど、私たちの生活にも直結する資産でもあります。コモディティは、株式や債券等の伝統的資産とは異なる動きをすることが多く、高い分散効果が期待できる点、インフレに強い点等がメリットと言えます。一方で、値動きが大きい点やインカムゲインを得られない資産である点がデメリットと言えます。

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、「空売り」や「レバレッジ」、「デリバティブ/金融派生商品」等の非伝統的な運用手法を使って、相場が上昇している時だけでなく、下落相場の時でもリターンを出す絶対収益を追求した運用を行うファンドのことです。安定的な運用を求められる年金基金等でも採用されています。「ヘッジファンド」と聞くと、「危なそう」「リスクが高そう」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、元々「ヘッジ」とは「回避」という意味で、「リスクを回避する」のがヘッジファンドの元来の目的ですから、実は安定的なリターンを着実に出すことを目指すファンドも多く、必ずしもハイリスク・ハイリターンではありません。とはいえ、採用している手法は複雑なものであるため、投資に当たってはある程度の理解が必要となります。

個人でヘッジファンド運用を取り入れる手段の一つとして、そうした運用をしている投資信託を購入する方法があります。ヘッジファンドと言えば、以前は最低投資単位が数千万~1億円程度といった高額な商品がほとんどでしたし、現在でもそのような商品も存在しますが、ヘッジファンド的運用をしている投資信託などはネット証券でも購入できます。
⇒商品性が複雑なため、特に投資経験の浅い方は、専門家のアドバイスの下で商品選択を行うことをお勧めいたします。弊社では投資信託の選び方についてのセミナー【リンク貼付】も開催しておりますので、ぜひご利用下さい。

また、最近では、株式市場の何倍もの動きを目指すようなレバレッジ型のETFや、株式市場が下落すると利益が出るベア型のETF等への投資が一部で人気になっているようですが、これらも個人でヘッジファンド的運用を取り入れる手段ではあります。しかし、非常にリスクが高く、安易に投資を行うことはお勧めできません。最近の人気ぶりは、分散投資やリスクヘッジの一環、というより、投機的に投資を行っている投資家が多いように見受けられます。

プライベート・エクイティ(PE)

プライベート・エクイティとは、「未公開株」あるいは「非上場株式」を指します。プライベート・エクイティ投資とは、創業間もない企業への投資(ベンチャー・キャピタル投資)や経営不振・後継者不在等の問題を抱える企業への投資(バイアウト投資、企業再生投資)、または、破綻した企業への投資(ディストレス投資)等を行い、企業価値を高めたり、再生したりした後、IPO(株式公開)やバイアウトによって利益を出す投資法です。上場株式と比べて流動性が低く個人が簡単に投資できない等のデメリットもありますが、伝統的資産以外の投資機会として注目を集めています。次回コラムで取り上げますが、莫大な資産を運用する年金基金や大学基金の運用にも積極的に取り入れられています。かなり「プロ向け」の資産となりますが、個人投資家でも、最低投資単位の大きいファンドラップ等に組み入れられているケースがあります。

プライベート・デット

プライベート・デットは、銀行以外の主体による企業への貸付を指します。一般に信用力の低い企業を借り手とする投資になり、信用リスクや流動性リスクが高いため、通常の債券投資よりも高いインカムゲインが期待できます。それでも、デット=負債は、株式より弁済順位が高いことから、前項のプライベート・エクイティ(PE)投資よりは低リスクの投資ということになります。リーマンショック後、銀行が信用力の低い企業への貸し付けに消極的であることからもプライベート・デット市場は拡大しています。ただし、こちらは個人で投資する機会はほとんどないかと思います。

オルタナティブ資産の運用とは

画像:GPIFが運用するオルタナティブ資産

グラフ:投資開始来のオルタナティブ資産の時価推移

投資開始来のオルタナティブ資産の時価推移

同戦略に基づき、公募によって選定された運用受託機関による投資も進捗し、2021年3 月末時点のオルタナティブ資産全体の時価総額は1兆3,419 億円(年金積立金全体に占める割合は0.70%)となりました。

画像:(例)インフラストラクチャーの運用スキームのイメージ

〈(例)インフラストラクチャーの運用スキームのイメージ〉

GPIFの投資

〈インフラ投資事例1〉 風力発電施設 ―ポルトガル―
欧州を投資対象とするインフラファンドから、ポルトガルにおける大手風力発電事業会社へ投資しています。同社は、27箇所の発電施設で構成され、合計1,082MWの発電力を有するポルトガルで2番目に大きな風力発電施設のポートフォリオを運営しています。発電した電気を、固定価格買取制度を利用して売電し、長期的に安定した収入を得ています。

風力発電施設 ―ポルトガル―の写真

With the permission of Finerge

〈インフラ投資事例2〉 鉄道事業会社 ―オーストラリア― オルタナティブ投資とはどんなもの
オーストラリアを投資対象とするインフラファンドから、鉄道事業会社に投資しています。同社はシドニーの公営鉄道会社が運行する車両の設計・製造・保守管理業務を受託していますが、既に設計・製造は完了しており、現在は保守管理を実施しています。公営鉄道会社との長期契約に基づく安定的な収入が期待されます。

鉄道事業会社 ―オーストラリア―の写真

〈インフラ投資事例3〉 太陽光発電施設 ―日本―
ゴルフ場の跡地を活用して建設された稼動済の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)を保有するファンドへ投資しています。発電された電気は固定価格買取制度を利用して売電されることから、長期にわたり安定的な収入を得ることが期待されます。本発電所に隣接する施設からは122,000 枚以上のソーラーパネルが一望でき、地域住民や訪問者が発電施設を見学できるようになっています

太陽光発電施設 ―日本―の写真

投資対象とスキーム

(ⅰ)自家運用での投資信託の購入
2014 年2 月から、インフラ投資に豊富な実績を持つカナダ・オンタリオ州公務員年金基金(OMERS)及び日本政策投資銀行(DBJ)との共同投資協定に基づき、先進国の稼働中のインフラ事業等を投資対象とする投資信託受益証券を保有しています。

インフラ投資の2021 年3 月末時点の時価総額は7,362 億円となりました。
国別では、イギリスの割合が最も多く、ポートフォリオ全体の23%を占めており、その他アメリカ22%、オーストラリア11%などとなっています。インフラ・セクター別では、再生可能エネルギー21%、ユーティリティ(電気/ガス)12%、空港11%などとなっており、安定した収入が期待できる「コア型」のインフラ事業を中心に分散投資されています。運用を開始した2014 年2 月以来の海外インフラ投資全体の内部収益率(IRR、2021年3月末時点)は米ドル建てで3.69%、国内インフラ投資全体の内部収益率(IRR、2021年3月末時点)は円建てで3.57%となっています。また、2020年度に外国籍投資信託及びファンド・オブ・ファンズより受領した配当金(元本返済分を除く。)は合計101億円です。

グラフ:インフラ投資の運用状況

GPIFの投資

投資対象と運用スタイル

(ⅰ)新興国プライベート・エクイティへの投資
2015 年6 月から、世界銀行グループの一員である国際金融公社(IFC)及び日本政策投資銀行(DBJ)との共同投資協定に基づき、新興国の消費関連企業等のプライベート・エクイティに投資しています。
新興国上場株式市場への投資は時価総額が大きく先進国景気に連動しやすいテクノロジーやITセクターが多くを占めますが、新興国の非上場株式、特に今後の人口動態や経済発展によって高い成長が見込め、より内需に連動した消費関連企業等への投資を行うことにより、GPIFの新興国株式投資ポートフォリオの業種の偏りを改め、バランスよく世界経済の成長の果実を獲得することを目的としています。

(ⅱ)先進国を中心としたグローバル・戦略分散型の投資
プライベート・エクイティ投資の投資環境が整備されている先進国を中心に、グローバルに様々な企業ライフステージやセクターに、複数の戦略手法を組み合わせて分散投資を行います。GPIFが選定した複数の運用受託機関により、2020年度から投資を開始しています。
米国では上場株式市場全体の時価総額よりも非上場株式市場全体の時価総額の方が大きくなっているとも言われており、先進国を中心とした経済成長や産業の拡大、企業価値増大を幅広く捕捉し、投資ポートフォリオ全体のリスク・リターン効率の向上を目指します。

グラフ:プライベート・エクイティ(PE)の運用状況

GPIFの投資

〈不動産投資事例1〉 オフィス ―アメリカ―
ライフサイエンス研究機関・企業の集積する米欧主要都市においてオフィス/R&D 施設を保有するファンドへ投資しています。 成長を続けるライフサイエンス産業でも、特に著名な大学研究機関に隣接する地域は、大手製薬会社や創薬ベンチャー企業の需要が強く、テナントとの長期賃貸契約により、新型コロナウイルス感染症が蔓延している状況においても安定的な賃料収入を得ています。

オフィス ―アメリカ―の写真

〈不動産投資事例2〉物流施設 ―オーストラリア―
オーストラリアの主要都市近郊を中心に主に物流施設を保有するファンドへ投資しています。 比較的eコマースの浸透が遅れていたオーストラリアでも昨年のeコマース売上高は前年比大幅な増加となりました。堅調な需要がある生活関連小売業者を主要なテナント群としながら、運輸・製造業と幅広い業種からなる分散されたテナント構成となっています。

物流施設 ―オーストラリア―の写真

〈不動産投資事例3〉 物流施設 ―日本―
首都圏、関西圏、九州圏に立地する大型物流施設を保有するファンド(大手運輸会社と長期賃貸借契約を締結中)へ投資しています。 本物件は保冷設備を持ち、医薬品物流ネットワークの拠点として利用されており、大消費地の中心に近接する立地の新築大型物流施設として希少性があります。

物流施設 ―日本―の写真

投資対象とスキーム

不動産投資の2021年3月末時点の時価総額は5,447 億円となりました。
国別投資残高の割合では2017年度から先行して投資を開始した日本国内が最も多く、ポートフォリオ全体の38%を占めています。また、2018年度に新規採用した海外の運用受託機関により投資、運用が開始されたアメリカ31%、オーストラリア6%、イギリス6%などが続きます。不動産・セクター別構成比は、オフィスの割合が最も多く、ポートフォリオ全体の39%を占めており、物流施設34%、賃貸住宅16%、商業施設9%となっています。いずれも先進国のコア型不動産ファンドを中心に分散投資されています。

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