変わる米国ヘッジ会計
米国財務会計基準審議会(FASB)は、2017年8 月、ヘッジ会計の改訂を公表しました。リスク管理活動と財務報告の整合性を高めることを目的とし、かつ、その複雑性及び煩雑性を減らすことにより、現行基準の問題点に対処することを意図した限定的な改訂です。限定的改訂というものの、キャッシュ・フロー・ヘッジや純投資ヘッジにおけるヘッジの非有効部分の認識が不要になるなど、現行の米国ヘッジ会計の処理とは異なります。また、IFRS第9号のヘッジ会計との差異が大きくなります。
本稿では、米国ヘッジ会計の改訂の概略を説明し、IFRSヘッジ会計との主な相違点を解説します。
本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。
- ヘッジ会計とリスク管理活動をより整合させ、かつ、複雑性の低減を目指す限定的改訂であり、財務諸表作成者のコストや労力の削減につながることが期待される。
- キャッシュ・フロー・ヘッジや純投資ヘッジではヘッジの非有効部分の認識が不要になる。有効部分と非有効部分の両方をその他の包括利益に計上し、ヘッジ対象の損益認識時点で、ヘッジ対象と同一の損益科目を使って純損益に認識する。
- IFRS第9号のヘッジ会計との差異が大きくなる。
I.改訂の背景と影響
2017年8月28日、FASBはヘッジ会計の見直しプロジェクトを完了し、会計基準更新書(Accounting デリバティブとヘッジ会計 Standard Update, ASU)第2017-12号「ヘッジ活動に関する会計処理の限定的改善」 デリバティブとヘッジ会計 デリバティブとヘッジ会計 (以下「本ASU」という)を公表しました。新しいガイダンスは、企業のリスク管理活動の経済的実態をより適切に表すようヘッジ規定を改善し、また、複雑な現行のガイダンスの一部を簡素化しています。今回の改訂により、財務諸表作成者にとっては従来の会計処理の複雑性と実務上の負担が軽減され、コストや労力の削減につながることが、財務諸表利用者にとってはリスク管理活動に関する有用な情報が提供されることが期待されています。
II.改訂の概要 ~現行のヘッジ会計とはどのように異なるのか~
1.認識及び表示に関する変更
(1)非有効部分の概念の削除
ヘッジ関係に高い有効性があること ※1 はヘッジ会計の要件です。現行のヘッジ会計では、高い有効性がある場合でも、ヘッジ手段の評価差額をヘッジの有効部分と非有効部分とに区分します。有効部分はその他の包括利益に計上し、ヘッジ対象の損益認識時に純損益にリサイクルされ、非有効部分は発生時に純損益に計上されます。
本ASUは、ヘッジ関係の非有効部分という概念を削除し、高い有効性がある場合には、ヘッジ手段の公正価値変動全額にヘッジ会計を適用することを要求しています(815-20-35-1)。ヘッジ手段の公正価値変動全額はその他の包括利益に計上され、非有効部分はもはや損益に独立して認識されません。この結果、キャッシュ・フロー・ヘッジ及び純投資ヘッジにおいて損益認識のタイミングが変更されます(図表1参照)。一方、公正価値ヘッジに関しては、会計処理に変更はなく、ヘッジ対象リスクの変動に伴うヘッジ対象の公正価値変動は純損益で認識されるため、ヘッジ手段の公正価値との差分(ヘッジの非有効部分)は純損益に認識されます。但し、差分を非有効として開示することはもはや要求されません。
図表1 キャッシュ・フロー・ヘッジ及び純投資ヘッジの非有効部分の認識の変更
(2)損益計算書上の表示区分に関する規定 デリバティブとヘッジ会計
すべてのヘッジ取引について、ヘッジ手段の公正価値変動全額がヘッジ対象と同一の損益計算書表示科目に計上されます。また、現行のヘッジ会計及び本ASUでも、一部の状況において、(例えば、ヘッジ手段として用いたオプションのプレミアムのような)特定の金額をヘッジの有効性評価から除外することを認めていますが、本ASUはこの除外された部分もヘッジ対象と同一の損益計算書の表示科目に計上することを要求しています(815-20-45-1A)。
2.ヘッジ対象リスク構成要素に関する変更
(1)非金融ヘッジ対象のリスク構成要素
現行のヘッジ会計では、非金融項目の購入または販売に関連してキャッシュ・フロー・ヘッジ会計を適用する場合、ヘッジ対象リスクは、購入または販売のキャッシュ・フロー全体の変動性または為替リスクによる変動のみに限定されています。本ASUでは、非金融項目の購入または販売契約の契約上明示された要素をキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ対象リスクとして指定することを認めています。これにより、企業は、現金支払額または受取額の構成要素の1つにのみ関連するキャッシュ・フローの変動性をヘッジ対象リスクとして指定することが可能となります(815-20-25-15(i)(3))。
(2)変動金利の金融商品のヘッジ
現行のヘッジ会計では、金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ対象リスクは明示されたベンチマーク金利でなければならないとされています。本ASUでは、キャッシュ・フロー・ヘッジにおいて、契約上明示されたいかなる変動金利もヘッジ対象リスクとして指定することを認めました(815-20-25-15(j)(2))。したがって、プライムレートに基づく変動利付ローンのヘッジ対象リスクとして、ベンチマーク金利ではないプライムレートを指定することができるようになります。
(3)固定金利の金融商品のヘッジ
現行のヘッジ会計では、公正価値ヘッジにおけるヘッジ指定可能な金利リスクをベンチマーク金利に限定し、米国におけるベンチマーク金利は米国債金利とLIBORスワップレート、OIS(Overnight Index Swap, 翌日物金利スワップ)のみとしています。本ASUでは、これに、証券産業及び金融市場協会市民スワップインデックス(Securities Industry and Financial Markets デリバティブとヘッジ会計 Association Municipal Swap デリバティブとヘッジ会計 Index : SIFMA)スワップレートを追加しました(815-20-25-6A)。 ※2
3.金利リスクの公正価値ヘッジに関するヘッジ対象の測定
(1)ベンチマーク金利部分のみのヘッジ指定
現行のヘッジ会計では、ヘッジ対象の公正価値変動は、契約上の金利全体から生じるキャッシュ・フローに基づいて測定されますが、本ASUは、契約上の金利キャッシュ・フローのうちベンチマーク金利部分のみに基づいてヘッジ対象の公正価値変動を測定することを認め、いずれかを選択できるようになりました(815-25-35-13)。
(2)残存期間の一部のみのヘッジ
本ASUは、企業がローンまたは債券の残存期間の一部分を金利リスクの公正価値ヘッジにおけるヘッジ対象として指定することを認め、この結果ヘッジ期間の最後の利払い日をヘッジ対象金融商品の満期とみなして、金利リスクの変動による公正価値の変動額を算定することが認められます(815-25-35-13B)。
(3)期限前返済可能金融資産のポートフォリオのヘッジ
期限前返済可能金融資産のポートフォリオの一部をヘッジする場合、期限前返済(または、キャッシュ・フローの時期及び金額に影響を及ぼすその他の事象)に影響を受けないと見込まれる金額をヘッジ対象として指定することが認められます(最下層アプローチ)。このアプローチを用いる場合、ヘッジ対象の公正価値は期限前返済が不可能であるかのように測定されます(815-20-25-12A)。
4.有効性評価に関する見直し
(1)有効性評価の方法
現行のヘッジ会計では、キャッシュ・フロー・ヘッジ及び純投資ヘッジにおいてはヘッジの非有効部分を分けて純損益に認識する必要があるため、完全に有効であるとみなされるヘッジ取引(ショートカット法及びクリティカル・ターム・マッチ法の要件を満たすヘッジ取引)以外は、定量分析が必要です。本ASUでは、事後の期間においてヘッジの有効性が高いという予測を企業が合理的に立証可能な限り、事後の有効性評価を定性的に行うことができるとしました(815-20-35-2A)。この場合、企業は定期的に事実及び状況が変化していないことを確認し文書化することが必要です(815-20-35-2C)。
(2)当初有効性評価のタイミング
現行のヘッジ会計では、ヘッジ指定と同時に、当初の定量的な有効性評価を実施しなければなりません。本ASUでは、ヘッジ指定の後の一定の期間内に、当初の定量的な有効性評価を実施することが認められます(815-20-25-3(b)(2)(iv)(02))。
(3)ショートカット法
ショートカット法をもはや適用できない状況と判断される場合には、過去に遡ってヘッジ会計を適用しないという修正再表示が、現行のヘッジ会計では要求されています。本ASUでは、あらかじめヘッジ文書にどのような定量的評価を行うかを明記していれば、ショートカット法がもはや適用できない状況においても、当初のヘッジ文書に記載されている定量評価方法に基づき、将来に向かっての評価と実績評価との双方において高い有効性が認められる場合には、ヘッジ関係の再指定を要求せずショートカット法から定量評価方法へ有効性評価方法を変更することを容認しています(815-20-25-117A)。
(4)クリティカル・ターム・マッチ法
クリティカル・ターム・マッチ法を適用する場合、現行のヘッジ会計ではすべての条件が完全に一致することが必要です。
本ASUでは、ヘッジ対象が予定取引である場合に、デリバティブの満期と予定取引の発生期日の差異が31日間以内または同月内である場合には、ヘッジ手段のデリバティブの期日は、ヘッジ対象の予定取引と同時期であるとみなすことができます(815-20-25-84A)。
(5)有効性評価から除外された項目の会計処理
オプションの時間的価値、フォワード契約の直先差額など、有効性評価から除外した部分の公正価値変動については、現行のヘッジ会計では、直ちに損益認識することが求められています。本ASUでは、(1)有効性評価から除外した部分の公正価値変動をその他の包括利益に計上し、期間にわたって一定の方法により償却するか、(2)直ちに損益認識するかのいずれかを選択することが認められるようになりました(815-20-25-83A、83B)。なお、通貨ベーシススプレッドが新たに除外項目に追加されました(815-20-25-82)。
繰延ヘッジと時価ヘッジの違いこんばんは 会計ド素人です。 繰延ヘッジってようするに未決済のデリバティブ商品を持っていて契約が切れた時に「どっひゃー!なんじゃこりゃ~!誰だこんな取引した奴はー!」ってなるのがやばいんで期末にはちゃんと記録しましょうってことですよね?(すいませんが10分くらい勉強して自分なりに理解した結果です。) で、わからないのが時価ヘッジ。 平たく言うと繰延ヘッジと時価ヘッジって何が違いますか? ちなみに以下の文章を見ても俺には理解できなかった。 繰延ヘッジ 原則的な方法 時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、税効果会計を適用した上でヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産項目として繰り延べる方法 時価ヘッジ 例外的な方法 ヘッジ対象である資産又は負債に係る相場変動等を損益に反映させることによって、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法(時価ヘッジは、ヘッジ対象の時価評価が可能な場合にのみ採用可能) 本質をずばーっと平たい言葉でお願いできませんか? デリバティブとヘッジ会計 よろしくお願いします。
すみませんが、 >ヘッジ対象は損益が計上されず、ヘッジ手段は損益が計上される 例えば金利スワップでヘッジをかけているとした場合には ヘッジ対象は損益が計上されず、ヘッジ手段は損益が計上されるとはどういったことなのですか?
ベストアンサーに選ばれた回答
1.平たく言うと繰延ヘッジと時価ヘッジって何が違いますか? これは会計処理が違うだけなので、気にしなくて問題はありません。 デリバティブとヘッジ会計 たとえば、「Aデリバティブ商品」←これが欲しいだけで価格変動は好ましくない。 ということで、「B先物商品」をAの価格変動リスクを減殺しようと仕込んでおきます。 そして、 2.期末にはちゃんと記録しましょうってことですよね? まあ、ニュアンスは問題ないです。Aに関しては。 そこで、Bに関しての記録は?というのに対しての会計処理の方法を上記二つから選択できますということです。 繰延ヘッジ=字の通り、Bの評価時(期末評価)の損益を当該期間に反映させず繰り延べる。 時価ヘッジ=Bの評価も当該期間にしてしまう。 3.本質をずばーっと平たい言葉でお願いできませんか? 企業にとってはAが欲しいだけでBはどうでもいい(Aの決済の時に減殺効果さえあれば)。 このような感じで大丈夫です。 <補足について> まず、前提として商社等の財務分析等若しくは、上場大企業の有報を作成する。といった方でないかぎり正直上でも書きましたが、会計処理方法なので気にしなくて問題ありませんよ。 本格的な会計学の講義のようになってしまうので簡単に。 A(のことを会計基準ではヘッジ対象としています)が欲しいだけ。これは大前提。 そして、Aに対する価格変動を嫌い価格変動を減殺させるためだけにB(こちらは、ヘッジ手段としています)を仕込む(購入という言葉でもいいです)。 結論から言うと期末時点でAを評価したら、評価損益が0であった場合。そしてBはというと評価損益が出ていた。 もともと、BはAの価格変動の為だけに取得したもの(事実こういった前提を証明できなければこの会計処理は適用できないと捉えて問題ありません)なので、Bの損益だけ当該期間の損益として認識するのはおかしい、というか対応関係のない損益だけ財務諸表に計上されてしまうのを防ぐためでもあります。 わかりやすい所でいうと、売上原価はその期の売り上げに対応する分だけしか計上しませんよね。 会計学では対応関係を明確に!というのがあるだけと捉えて問題ありません。
なるほど。 投機目的で単独でデリバティブはあり得ないと言うことでしょうか。 そして感覚的には、 勝負した品物を直接±で決着をつけるのが時価ヘッジ まだ勝負がついてないとして先送りにするのが繰延ヘッジ と理解しました。 う~ん違ったかしら。何度も読み返しますよ。 i_love_marines26さんもありがとうございました。
その他の回答
ある期間においてヘッジ対象は損益が計上されず、ヘッジ手段は損益が計上される場合にはヘッジ会計が適用されます。具体的な適用条件は省略します。 繰延ヘッジは損益が計上されないヘッジ対象に合わせて、計上されるはずのヘッジ手段の損益を計上せずに繰延ヘッジ損益とします。ちなみにこれは純資産直入として純資産の一項目です。 時価ヘッジは逆に損益が計上されるヘッジ手段に合わせて、計上されないはずのヘッジ対象の損益を計上します。これが使えるのはその他有価証券のみです。
デリバティブとヘッジ会計
ヘッジ会計処理の例(金利スワップ取引)
企業が行うデリバティブ取引の多くはヘッジを目的としたものである。デリバティブ取引は時価評価により損益を認識することが原則となるが、ヘッジ対象のなかには相場変動等が損益に反映されないものが多いため(たとえばローン)、そのままではヘッジ対象とヘッジ手段における損益の認識時期の不一致が生じる。ヘッジ会計は、こうした問題を解消し、ヘッジ取引の経済的実態を財務諸表に反映させるための処理方法である。
ヘッジ取引であるデリバティブ取引のうち一定の要件を満たすものについて、原則として繰延ヘッジ(時価評価されているヘッジ手段のデリバティブ取引に係る損益または評価差額をヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰り延べる方法)を行う。すなわち時価評価額は貸借対照表上認識されるが、ヘッジ関係が継続する限り、その評価差額は純損益として認識されない(ただし、税効果会計を適用。連結財務諸表では「その他包括利益」として認識)。
今回は、イメージを直接把握するため、いきなりで恐縮だが、デリバティブ取引のなかでも圧倒的に取引が多く、わかりやすい金利スワップ取引の時価会計とヘッジ会計の計理処理を例示したい。
(各会計基準や適用指針等の詳細については本連載第3回にURLを掲示したので原文にあたってください。また、本文における意見は個人的なものであり、計理処理例を含め、それらの具体的適用の可否については関係する監査法人、公認会計士等にご相談のうえ自己責任・自己判断でご対応ください。)
1.時価会計のケース
(前提)取引時点X0年の時価はゼロ
決算期日等の時価:X1年3月31日の時価=1,000万円
X2年3月31日の時価=1,300万円
① 決算日(X1年3月31日)
金利スワップ資産 1,000万円/金利スワップ評価益 1,000万円
PL(損益計算書)
金利スワップ評価益 1,000万円
BS(貸借対照表)
金利スワップ資産 1,000万円/利益剰余金 1,000万円
(時価会計のため未収・未払利息は計上しない。時価に織り込まれている。)
② 期首(X1年4月1日)振戻し処理(決算日に時価評価を行い、翌期首で取得原価への振戻処理を行なう洗替方式のこと)
金利スワップ評価益 1,000万円/金利スワップ資産 1,000万円
③ 利払日(X1年M月D日)金利スワップの受払ネット金額(例)
支払利息 200万円/現金 200万円
④ 決算日(X2年3月31日)
金利スワップ資産 1,300万円/金利スワップ評価益 1,300万円
PL(スワップの時価増減額(1,300万円-1,000万円)を計上)
金利スワップ評価益 300万円
支払利息 -200万円
BS
金利スワップ資産 1,300万円/利益剰余金 1,100万円
現金 -200万円
⑤ 期首(X2年4月1日)振戻し処理
金利スワップ評価益 1,300万円/金利スワップ資産 1,300万円
2.ヘッジ会計のケース
(前提)借入ローンと金利スワップ取引がヘッジ関係にある。X0年に取引開始。
法人税率40%。
決算期日等の時価:X1年3月31日の時価=1,000万円
X2年3月31日の時価=1,300万円
① 決算日(X1年3月31日)
PL
(連結財務諸表では、その他包括利益(繰延ヘッジ損益)に600万円を計上)
BS
金利スワップ資産 1,000万円/(純資産の部)
繰延ヘッジ損益 600万円
繰延税金負債 400万円
② 期首(X1年4月1日)振戻し処理
繰延ヘッジ損益 600万円/金利スワップ資産 1,000万円
繰延税金負債 400万円
③ 利払日(X1年M月D日)金利スワップの受払ネット金額(例:ローン支払金利は別途計上)
支払利息 200万円/現金 200万円
④ 決算日(X2年3月31日)
金利資産 1,300万円/繰延ヘッジ損益 780万円
繰延税金負債 520万円
PL
支払利息 -200万円
(連結財務諸表では、その他包括利益(繰延ヘッジ損益)に180万円を計上)
BS
金利スワップ資産 1,300万円/繰延ヘッジ損益 780万円
現金 -200万円 繰延税金負債 520万円
利益剰余金 -200万円
⑤ 期首(X2年4月1日)振戻し処理
繰延ヘッジ損益 780万円/金利スワップ資産 1,300万円
繰延税金負債 520万円
繰延ヘッジ損益の税効果会計について 繰延ヘッジ損益を計上する際に税効果会計を適用しなければならない理由がよくわかりません。
繰延ヘッジ損益の税効果会計について 繰延ヘッジ損益を計上する際に税効果会計を適用しなければならない理由がよくわかりません。会計上はデリバティブの時価評価による評価差額は純資産に直入されるが、税務上は時価評価による損益は課税所得へ算入されないため、両者で差異が生じるから。 デリバティブとヘッジ会計 などと説明されますが、 ・具体的に税会不一致となる資産負債評価額はどの部分でしょうか。 ・「税務上は時価評価による損益は課税所得へ算入されない」とありますが、繰延ヘッジ損益はPLに反映されないため、課税所得=益金-損金において益金と損金のどちらにもならないのは当然ですし、 会計 上でもそれは同じではないでしょうか? (会計上の利益(税引前利益)=収益-費用においても、繰延ヘッジ損益は収益にも費用にも該当しない) 勘違いがありましたら大変申し訳ございませんが、ご教示いただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。
ベストアンサーに選ばれた回答
>「税務上は時価評価による損益は課税所得へ算入されない」とありますが、繰延ヘッジ損益はPLに反映されないため、課税所得=益金-損金において益金と損金のどちらにもならないのは当然ですし、 会計 上でもそれは同じではないでしょうか? (会計上の利益(税引前利益)=収益-費用においても、繰延ヘッジ損益は収益にも費用にも該当しない) 上記の部分の理解が誤りです。 「税務上は時価評価による損益は課税所得へ算入されない」ということは、税務上は時価評価による資産負債の増減はなかったことにするという意味です。 つまり会計上は ヘッジ対象資産/繰延ヘッジ損益 として、ヘッジ対象資産の増加を認識しても 税務上はこの増加を否定するということです。 ここで、税効果会計基準を思い出してください。最初に次のように書いています。 「第一 税効果会計の目的 税効果会計は、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(以下「法人税等」という。)の額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続である。」 「税効果会計は、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において」適用されるものです。 損益計算=所得計算では会計と税務は一致しているが、資産・負債の計上額では会計と税務は不一致なので、税効果の対象になるのです。
丁寧なご回答ありがとうございました。 デリバティブとヘッジ会計 >>つまり会計上は ヘッジ対象資産/繰延ヘッジ損益 として、ヘッジ対象資産の増加を認識しても 税務上はこの増加を否定するということです。 会計上は資産の増減があるが、税務上はそれがなく、 資産負債法?が使われているため、 資産負債の計上額で税会不一致をみるべきでしたね。 よく勉強になりました。 ありがとうございます。
日商一級のデリバティブ取引、ヘッジ会計が理解できません。
まず、言葉の定義を確認しましょう。 ⚫デリバティブ取引 先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引及びこれらに類似する取引の総称。 金融商品会計基準4 ⚫ヘッジ取引 ヘッジ対象の資産又は負債に係る相場変動を相殺するか、ヘッジ対象の資産又は負債に係るキャッシュ・フローを固定してその変動を回避することにより、ヘッジ対象である資産又は負債の価格変動、金利変動及び為替変動といった相場変動等による損失の可能性を減殺することを目的として、デリバティブ取引をヘッジ手段として用いる取引をいう。 金融商品会計基準96 デリバティブとヘッジ会計 ⚫ヘッジ会計 ヘッジ手段であるデリバティブ取引については、原則的な処理方法によれば時価評価され 損益が認識されることとなるが、ヘッジ対象の資産に係る相場変動等が損益に反映されない場合には、両者の損益が期間的に合理的に対応しなくなり、ヘッジ対象の相場変動等による損失の可能性がヘッジ手段によってカバーされているという経済的実態が財務諸表に反映されないこととなる。このため、ヘッジ対象及びヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を財務諸表に反映させる⚫ヘッジ会計⚫が必要と考えられる。 金融商品会計基準97 簡単に言ってしまえば、 ヘッジ対象とヘッジ手段の損益の認識を同一の時点にするための処理がヘッジ会計であり、 もし、ヘッジ対象が時価評価される資産であれば、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益を認識する時点は同一なので、ヘッジ会計を適用する必要はないということになります。 (例としては、外貨の為替予約(独立処理)がヘッジ会計を適用する必要がないヘッジ取引です。) ようやく本題ですが、 仰っている「証券を持ち続けることはなく~」というのはデリバティブ取引のひとつであるオプション取引のことだと思われます。 ここで、オプション取引の定義を確認します。 ⚫オプション取引 あらかじめ定められた期日に、あらかじめ定められた価格で、原資産を『買う・売る権利』を売買する取引 ここからわかる通り、「権利を売り買いする」取引のため、実際にそのものを売り買いしていなくてもオプション取引になるということになります。 「売り建てのときも、買い建てのときも~」についてですが、これはおそらく先物取引のことでしょう。 先物取引の場合のそれぞれの言葉の定義を確認します。 ⚫売り建て 売る価格を約束すること 売り建てをした場合、 満期日(限月)に市場価格で仕入れて、 約束した価格で売る ⚫書い建て 買う価格を約束すること 書い建てをした場合、 満期日(限月)に約束した価格で買う ここからわかる通り、売り建てと買い建てが同一の行為を指すことはないということになります。 また、「ヘッジ会計での処理~(筆者注:ヘッジ取引)」は、 例えば、売り建ての約束をしたとして、 その約束で将来損失が懸念される場合に、それを減殺する目的で新たにもう一つデリバティブ取引をすることです。 この場合、前者がヘッジ対象、後者がヘッジ手段となります。
デリバティブ取引 の検索結果
日商簿記1級デリバティブ取引について。 買建ての場合、FX取引のように〇〇円で買って〇〇円で売.
ベストアンサー:直物相場:現在のガチの値段 先物相場:現在の予約専用の値段 売り建てる:売る予約 [通常の取引] 昨日、1ドル100円を100ドル買って今日1ドル120円で売った
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